6. 手続きやリスクについては、相談者の84%、依頼者の87%が「説明があった」と認識している
(1)相談者では、手続きやリスクに関する説明が、料金についての説明よりも不足している傾向
手続きやリスク(信用情報への登録等)についての説明については、相談者のうち、説明があったと答えた人が84.5%となり、料金と同じくかなりの割合に上りました。一方、「説明がなかった」が10.1%となっており、料金についての「説明がなかった」が5.8%であるのに比べると高くなっています。相談者が、弁護士事務所に対して、手続きやリスクに関する説明をより多く求めていることが窺えます。
(2)手続きやリスクについても、相談者より依頼者の方が「説明があった」という認識が高い
相談者のうち、実際に依頼した人では、手続きやリスク(信用情報への登録等)についての説明があったと答えた人が87.9%。図6−1と図6−4を比較すると、料金と同じように、相談者より、依頼者の方が「説明があった」という認識が高いことが分かりました。
7.4人に3人は相談した事務所に依頼
相談の結果、4人に3人は、相談した事務所へ依頼しています。 相談方法ごとに見ると、直接面談は82.2%、電話相談は64.3%、インターネットは53.7%となっており、直接面談の方が依頼へつながることが多いことが分かりました。
8.料金と納得のいく解決策が提示されるかが依頼のポイント。若い世代は他事務所との比較を望む
相談したが、依頼しなかった人にその理由を聞いたところ、「料金が高いと感じたから」と「納得のいく解決策が提示されなかったから」がともに3割超の割合。他の弁護士事務所と比べたいという人も約2割。とくに男性20代(40%)、男性30代(25.6%)、女性20代(28.6%)、女性30代(27.3%)と、若い世代に他事務所との比較を望む傾向が顕著に見られます。 また、インターネットで相談した人は、料金を重視していることが窺えます。
9.相談者は、相談方法を直接面談に限定することに否定的
日本弁護士連合会は、弁護士事務所の相談方法をめぐって、債務整理処理事件に関して弁護士事務所に行くなどして、直接弁護士と会って話をすることを、2011年4月から義務化する方向で議論を進めているとの報道がなされています。
直接面談の義務化をめぐっては、「電話やインターネットなども含めて相談方法は依頼者が選べるようにした方がいい」と答えたのが約6割。また、自分は直接面談で相談したという人も、半数以上が、「電話やインターネットなども含めて選べるようにした方がいい」と回答しています。
さらに、地域別にみたところ、三大都市圏と地方のいずれにおいても、「電話やインターネットなども含めて相談方法は依頼者が選べるようにした方がいい」が「直接会って相談する方法だけに限定した方がいい」を上回っています。
これらのことから、相談方法を直接面談に限定することに対しては、相談者は否定的なことが分かります。
10. 4人に3人が直接面談の義務化で利便性が失われることを懸念
「電話やインターネットなども含めて相談方法は依頼者が選べるようにした方がいい」と回答した人にその理由を聞いたところ、「利便性が失われるから」が77.3%と最も多い結果となりました。自分は直接面談した人の77.4%も直接面談の義務化によって「利便性が失われるから」と回答しています。
次いで、「地元の弁護士事務所しか頼めなくなるから」が4割超となりました。
11.弁護士と依頼者のトラブルに対しては、相談方法の規制ではなく、情報開示で対応を
債務整理事件処理に関して、一部の弁護士事務所と依頼者の間でトラブルが報道されているのを受け、そうしたトラブルと電話やインターネットなどの相談方法との関係について、相談経験者に聞いたところ、「電話やインターネットは相談方法にすぎないので、トラブルとは直接関係ないと思う」が37.3%と、「電話相談では弁護士事務所と十分な相談ができないためトラブルにつながると思う」(35.5%)を上回りました。
これと対応して、「事件には簡明なものと複雑なものがあるので、簡明なものに関しては電話やインターネットの相談方法も残した方がいい」(37.0%)が、「多少不便になっても電話相談を規制すべき(26.5%)を上回っています。
なかには、直接会わずにインターネットのみの相談など、さらに便利な方法があってもいいという人も16.5%おり、さらなる利便性を求めている人も一定数いることが分かりました。 44.9%と最も多かったのが、「相談方法を規制するよりも、料金や手続きなど、弁護士事務所を利用するのに役立つ情報をもっと開示してほしい」という回答。トラブルに対しては、相談方法の規制ではなく、さらなる情報開示で対応してほしいという相談者の要望が見て取れます。